
「テポドン 大阪ミナミの「夜」の歴史を変えた暴れん坊」を読んだ
NHKスペシャルで2019年に公開された「半グレ 反社会勢力の実像」を当時、偶然目にした。
世間では、表舞台に出てくることがない反社会勢力と呼ばれる方々が、こんな堂々としてて良いのか。という感想。よくラッパーが大麻のリリックを書いたり、MVで出すことはあっても、影響はWebやSNSの範囲で、興味がある人に留まる。NHKという巨大な電波に乗せても、こんな堂々としているのか。という。
その中でも、ナンバー2として紹介されていた吉満勇介氏にぼくの関心は高まった。
ぼくの想像する半グレとは少し印象が遠く、人を威嚇するような「オラついている」様子や、自分を大きく見せるようなブラフを打っている様子もなく、物腰がとにかく柔らかい。語り口もインテリジェンスさえ感じさせるような話し方。また、ファッションのセンスも非常に高いのが印象に残った。
そして何よりも、様々な世代の男性も女性も、周囲、地域から愛されているような印象であった。
カリスマ性といったら言葉足らずな気もするが、とにかく人を惹きつけるような魅力をまとったような人なのかなぁと。
前置きは長くなったが、もちろん、本人の都合の良い解釈や記述などもあるだろうという前提で、そんな人の本を読んでみた。
※以下ネタバレを含みます。見たくない人はブラウザを閉じるなどしてください。
早速、捕まっていた。
本を読んで知ったのだが、NHKスペシャルの放送の後、1ヶ月足らずで逮捕をされていた。
ぼくの心配は的中、というか無事ではなかったのだが。
内容的には、まさにNHKスペシャルが、オンエアされた日に自分の経営しているホルモン屋で鑑賞会・打ち上げを身内で行い、その売上をそのまま従業員に持っていかれたということ。
その売上を返せと言っただけで恐喝罪で逮捕。理由がどうも解せない。
この本でも書かれている通り、NHKスペシャルの放送が警察のプライドを傷つけて見せしめに逮捕したのか。その従業員に対する売上の取り立てを過剰にやってしまったのかはわからない。
(本を読み進めていくと、不当逮捕と感じるようなものも、もう一件あるため、目をつけられたんじゃないかと思っている。)
「半グレ」っていったいなんだろう。
「半グレ」は、関東連合などで、有名になったと記憶している。
暴力団でも一般人でもないその中間の人間やグループのこと。
メンバーや事務所などもうやむやなため、実態がないということが特徴とされていた。
ぼくが気になったのは、半グレの人は、自分のことを「半グレです」なんて自称することもないため、どこから半グレになってしまうのか。
何をしたら半グレになるのか。(特殊詐欺とか、ボッタクリバーなど法に触れるような内容の事業をやったらだと思うが)
本書に書かれていたことでとても印象的だったのが、「半グレ」とはレッテルのようなもので、一度付けられたら死ぬまでレッテルを貼られてしまうという。その分ヤクザは「足を洗う」ことで一般人に戻ることもできるという。
仮に、特殊詐欺などはやっていなくても、少なくともNHKスペシャル放送時に、そういったレッテルを貼られてしまっていたのはなぜだろう。そんな思いで読み進めた。
あくまでぼくの考察だが、著者の水商売時代に、仕事後にミナミで酔って暴れまくっていた時代があったとこのと。(テポドンの由来にもなっている)
水商売時代の師匠から「舐められないように」と言われていたからとのことだが、喧嘩などに明け暮れ、傷害などで逮捕されてもおかしくないことを、何も恐れずやっていた時代があることがもうすでに一般人とズレていた部分があったんじゃないかと感じた。
さいごに
この本は、著者の気持ちがストレートであるためスラスラと入ってくる。3時間ほどで読み終えた。
本を通しても、顕著なところや自分に正直なところが垣間見える。それを包み隠さず本に記しているという様子。とても読みやすいのでぜひ。
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