「AIに選ばれ、ファンに愛される」佐藤尚之 を読んだ
分厚い。
ぼくは電車の中などで読む時はどんな本を読んでいるか周りに悟られたくない(この本に限らず)
カバーをつける(A4のコピー用紙を)
やはり分厚い。辞書のようだ。
著者の佐藤尚之さん(さとなおさん)の本はほとんど持っているが、これまでの出版ペースより早いタイミングな気がする。
※後から調べたら全くそんなことなかったです。3-4年ペース。
それほどこのAIという分野が、デジタルイノベーションを通り越して、産業、いや世界中に暮らしている人々のライフスタイルまで変えてしまうようなインパクトに感じているのではないか。
だから、急いで執筆したんではなかろうか。とまで考えてしまった。
佐藤尚之(さとなお)さんとは。
コミュニケーション・ディレクター
『AIに選ばれ、ファンに愛される。 〜変わる生活者とこれからのマーケティング』の著者。https://note.com/satonao310/n/n6192f391423f
1961年東京生まれ。大手広告会社でのクリエイティブディレクターを経て、2011年に独立。(株)ファンベースカンパニー 取締役会長。他に、一般社団法人助けあいジャパン代表理事。一般社団法人アニサキスアレルギー協会代表。一般社団法人リタイアメント・コーチング協会代表。大阪芸術大学客員教授。コミュニティGood Elders主宰。花火師。平日夜は恵比寿にてバーに立っている。最新刊は「AIに選ばれ、ファンに愛される」。他に「ファンベース」「明日の広告」「明日のプランニング」など。また、“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」「沖縄やぎ地獄」「沖縄上手な旅ごはん」「極楽おいしい二泊三日」「ジバラン」など多数。
広告業界の先輩でもあり、プランニングの師匠(この方のコミュニケーションのラボに過去に通っており、それから数カ月に一度くらいお会いしているとても距離の近い方でもある)でもある。
さとなおさんの著書やラボでお話されることは、とても理論が太い。
彼の性格からなのだろうか、あらゆる可能性、視点を検証しているように思えるので、結論に納得性がすごくあるのだ。
これまでの著書でも、明日の広告、明日のコミュニケーション、ファンベースなど、これまでの過去(歴史)や現在の状況、未来の兆候などを捉えて、コミュニケーションのあり方(伝え方)を体系的に捉えて、未来ではこうなるだろうという予想を立てるのだが、全てではないが、本当にその本に書かれたような世の中になっていく。
まるで、当たる予言なのだ。
気心の知れた仲ではあるのだが、そんな事を差し引いても、予言者、いや預言者なのでは、と時々思うことがある。
これまでは広告業界のクリエイティブ、プランナー向けの「伝え方・伝わり方」の内容が多かったが、ファンベースあたりから、クライアントサイドと呼ばれる、メーカー、サービス主、自治体、などなどその対象を広げての内容。今回どのような内容なのか。そんなに急いで執筆しなくてはならなかったのか。
(Amazonで予約して発売日に届いたが、なかなか読み出せず・・・)
そんな事を気にしながら読んでみた。
なお、過去のさとなおさんの著書もチェックしてみてほしい。
本の内容にいきましょう。感想をダラダラと。
※ネタバレなどがあるので、読んでいない方で内容を知りたくない方は、ページを閉じるなどしてください。
マーケティングという概念ができて以来最大の事件かもしれない。
そんなびっくりするような言葉から始まるこの本は、ご主人(自分)の趣味嗜好や行動パターンなどを熟知したAIが、今後、よりパーソナル化され(イメージとしてはジョジョのスタンドのように、エヴァンゲリオンのATフィールドのように)あらゆる情報を最適化してフィルタリングして、ご主人に届けてくれる存在になっていく。という未来の元、この本は書かれている。
AIは人間の知能と同等かそれ以上に頭がいい。特に情報収集や情報分析における能力は、人間よりも優れている。
よって、今まで「BtoC(Business To Consumer)」企業から生活者へ、「BtoB(Business To Business)」企業から企業へ、という一方通行に伝えていた情報は、これから、AIと共に対話し、学びあい、共に高め合うような新しい関係性「With」の関係性で情報が届けられるようになるのではないか。
生活者がAIに依存すればするほど、AI経由の情報になるため、例えば「BtoC」の場合、いったんAIを挟む、「B to A With C」(企業からAIに届き、AIが情報を精査し生活者へ)となり、より情報が届きにくくなる。だからこそ、AIの論理を超えた「関係性」こそが、AI時代の生命線になってくる。と。
だからファンという存在、指名顧客・生涯顧客という資産が、AIを相手にしなくてはいけない時代のお大きな希望となってくると。
ふむ。なるほど。とは思ったが、一方で、Google検索で検索しないで買い物するとき(例えば飲料とか)と一緒で、全てが全てAIに頼るかなーとも思った。
読み進めてみよう。
これからショッピングはどうなるのか。
必要なものを買う「バイイング」、買うこと自体を楽しむ「ショッピング」。なるほど。
バイイングは、AIの得意とすることなので、価格、性能、信頼性なども含めてあらゆる条件を比較して最適な選択肢を与えてくれるので、合理的な買い物はAIがカバーしてくれるという。
ボクの場合でも、たしかに、家の必需品(電球が切れた等)は楽しくない買い物に値するので、早く終わらせたい。そういう意味では、その時間を短縮できるということは願ったり叶ったりだ。
その偶然や気分任せのショッピングでは、出会った瞬間に心惹かれる理由を求められるという。だからこれまでの広告クリエイティブでいうところのデザインや社会性など(本当に最近は優先順位が二の次、三の次になっていると感じる)を、より全面に押し出していくことが有効と。
なるほど。確かにイメージができる。
社会性はいったん置いておいて(全てそれが前提になると思ってるから)、認知に広告を使う時代のデザインと、出会った時のデザイン。これまた役割が全く違う。
広告のデザインは短い時間勝負。だからキャッチコピー、キービジュアルなど「一瞬で伝わる」ことが重要視された。特にマス広告が重要視されていた頃はなおさら。AI時代の場合は出会った時のデザイン。
すでに情報が最適化されて、「あなたに合った情報ですよ。」とAIに推薦されてきて出会う。
なので、広告よりもより、じっくり見てもらえる心理状態にはなっているはず。
ただ、広告予算に比例して制作予算がつくような広告業界のこれまでの仕事に、短期的な費用対効果を見られることが多くなるため、この部分に予算はあまりつかない。
日本は特に、こういうところに投資しない。もっと投資してもよいと思う一方で、
デザインや、クリエイティブをやりたいのであれば、広告予算でなく、事業予算で、と思うが、その部分も、広告よりもシビアに費用対効果を見られるだろう。
うーん、解決策が見つからない。
また、少し気になったのが、さとなおさんの場合なのか、機能面(価格や機能など)で絞り込んで、その次にデザインや社会性の順だったのだが、ボクはデザインからニーズを結びつけることが買い物では多い。
話しはそれるかもしれないが、「お洒落は我慢」という言葉が好きだ。
お洒落でありたいなら、多少の不便や不快は受け入れる。暑い、寒い、歩きにくい。そういう機能的な合理性よりも、美しさや佇まいを優先するという考え方だ。
最近は「それはもう古い」と言われることも多い。エフォートレスとか、快適さや自然体を重んじる価値観が主流になってきている。無理をしないこと、心地よくあること。それはもちろん大切だと思う。
でも、それでもなお、あの言葉には惹かれる。
「美しさのために何かを手放す」という覚悟が、そこにはあるからだ。
機能や合理性だけで選べば、もっと便利なものはいくらでもある。
それでもあえて、少し不便でも、美しいと思えるものを選ぶ。
その選択には、単なる効率とは違う価値観が表れている気がする。
だから僕は、ファッションに限らず、プロダクトでも同じ基準で選ぶことが多い。
機能的な合理性よりも、デザインの美しさから選んでしまうことも少なくない。
便利さだけで世界ができているわけではない。
少しの不便を引き受けてでも、美しいものを選ぶ。それはそのブランドの愛着などそれまでなくても。だ。
「お洒落は我慢」という言葉は、ファッションの話に見えて、
実は生き方の美意識の話なのだと思う。
こういった消費行動もさとなおさんの考えるフレームワークの中に含まれているのか、また別の消費行動なのか、質問してみたいと思った。
でも、AI時代にその感性すらも、AIに依存するようになると、とても寂しいなとも感じた。
AI時代に選ばれるためには
AIは、インターネット上の情報を収集、精査、推奨してくるため、AIにその情報を見える化し、放っておいてもなかなか起こらない、客観的な証拠(Report)主観的な証拠(Review)をなど起こしてもらうような体験を作っていくということだった。
そのためのフレームワークなども複数用意してある。
これをよく体系的にまとめたなーと。さとなおさんの熱量を感じた。
ファンベースとAIの関係
この本を読んでいて、さとなおさんが(ご本人も著書の中で何度か言っていたが)ファンベースを推進しているから、推奨したいから、と思われても仕方ない、とても書きにくそうだなと感じる部分が多くあった。
それをも考えての上での最後の手段としてのファンベースだったのか。
特に最後の物語の部分。さとなおさんが作家のようになっていたのも驚きだったが(これAIにも一部書いてもらっているのかなとも)進研ゼミの勧誘ハッピーエンド漫画のように感じてしまうのだ。
進研ゼミをやっておけば、勉強も、スポーツも恋愛もすべてうまくいく、的な。
ただ、まだ実例がないことと、
ファンベースのときもそうだが、短期で結果が見えにくい領域なので、それぞれの企業や団体の中で、具体的な話しが進みにくい(予算化されにくい)ということだから、様々な業態でのケーススタディや成功への道のりと指標などをどのように見たら良いかを伝えるための物語なのだな。と思った。
確かにこういった物語以外に伝える方法は見つからない。
物語でいうと、この中では、「筆友堂(ひつゆうどう)」の話しが好きだった。
特に一つのニッチを極めると、そこから新しいニーズが見えてくる、という。
まさにボクがやりたい事業というのはこういうことだ。と。
ただ6つの物語を通して、内田さんがそれぞれ別の話しで、2回もでてきたのは気になった。
(ペンの職人と自治体の移住推進課)
さいごに
最近はボク自身のあらゆる判断をAIに確認している。
特にこの1年くらいでそうなってしまった。AI依存も周囲に比べても高そうだ。
みんなもそうなのかな。
そう考えると、この本に書かれている内容は、本当にすぐ近い未来にやってくる気がしている。
だからさとなおさんは執筆を急いだのかな。
色々と考えさせられ、読み応えのある素敵な本だった。
ぜひおすすめ。

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