mid90s

Mid 90sを観た

気鋭の映画配給会社A24の作品。
MIYASHITA PARKで行われた、GWのスケートイベントの中で鑑賞。
(もう一ヶ月以上経ってしまった。。。)

MIYASHITA PARKのスケートイベントとは

このイベントは、競技としてのスケートボードではなく、
文化としてのスケートボードにフォーカスしたような内容のイベント。
”競わない”のがポイント。プロのエキシビションもあれば、ライブやDJなど音楽フェス的な要素もあり。はたまた気鋭のスケートブランドが勢揃いで、グルメも楽しめる。
ただ見るだけじゃなくて、スケートスクール(大人も子供も)もある。
ファッションやアート切り口のトークショーやっていて、
その一環での映画上映。

画一的な1番を決めるコンテストではなく、それぞれ楽しめばいいじゃん的なゆるさが良い。
スケートボードってこういうのが良いんだよなと改めて思うイベントだった。

映画(Mid 90s)の話

さて、映画の話に戻ると、

90年代のLAが舞台。
ボクもちょうど90年代半ばは中学生で、スケートボードも13歳の主人公スティーヴィーと同じようはハマり方をしたので、まさに主人公の状況とシンクロする部分があったのは事実。

ただ、そこを差し引いても、とんでもなく素晴らしい映画であったという感想。
作り手の”好き”がひしひしと伝わってくる。

最大のこの映画の魅力は、”当時のリアリティ”。
これは、ファッションや音楽だけではなく、
スケートシーン(界隈って意味の)や当時の社会のスケーターの見られ方含めた空気感
スケート文化への若者の向き合い方の心の描写まで、とてつもないリアリティが詰まっていた。

また、映像の色合いもとても良い。薄い青いフィルターがかかったような。でも温かみのあって青春を描くのによりエモさを強調させるような色合い。

※以下ネタバレあります。

どんなリアリティが圧倒されるのか。

例えば、”少年の成長の描き方”
13歳の少年スティーヴィーは、スケートボードと出会う前ははタートルズやストIIの
Tシャツを着ているよく居る(であろう)アメリカンな少年。

DV気味の兄は、NASやWUのTシャツを着て、スニーカーはジョーダン。部屋にはMobb DeepやWUポスターが貼ってあるような、いわゆる兄もHIPHOP大好き少年。そんな兄の部屋に入り込み、雑誌やCD、服をチェックする。この年代の弟からすると目に見えるものが全て刺激的で、新しい世界の扉を明けてくれるような部屋なのである。

まさにいろんなモノに出会い、これは自分向きだ、これは違う、などやっていると”カルチャー自我”なるものが成長していく。

そして、スケートボードに出会い、スケートブランドSHORTY’S(またこのあたりのチョイスも渋い)のTシャツを着た途端に、身も心も、一端のスタイルを持ったスケーターのような顔つきに成長していく。
ただ、シューズはスケシューではなく、普通のスニーカーのまま。という描写あたりは、当時の中坊がスニーカーまですぐに買えるわけでない。というのはアメリカだけでなく、この日本のスケーターを始める中坊もみんなそうだった。Tシャツひとつでこの変化があるみたいなのもこの年代特有だったんじゃないかな。と。このクオリティの描写である。

このような描写は上げればキリがないほど出てくるので、ストーリーに夢中になりながらも、「おっ!」と感じるところが満載で、そこも楽しい。

スケートボードを通してできた仲間や、その仲間とのスケートボード以外での遊び。人生に初めて自由を手に入れたようなあの感覚まで”リアリティ”だらけだ。

ファッションブランドだけでなく、着こなしや音楽の使い方まで抜け目ない

スケートショップでかかるATCQ、Souls of mischief、Pharcyde。パーティでかかるCypress Hill。
Bad Brains、Nine Inch Nailsまで、青春オンパレードのような楽曲たち。

Cypress Hillは、タバコの匂いを消すという、親に内緒で悪いことをしているシーンでかかる。使い方わかってるな。という選曲。

ファッションも、ただ太い、動きやすいというだけではいていたジーンズとTシャツのバランスなど、絶妙なのだ。しかもChocolate、DROORS、REAL、WORLD INDUSTRIES、GIRL、blind。よくここまでブランド集めて散らかしたな、と。でもその散らかし具合が当時のリアリティが凝縮されているようにも感じた。

Supremeのスケーター、ナケル・スミスは主要人物として出演

カッコいい仲間の一人として描かれているナケル・スミス。スケートのスタイルも、話し方も、ファッションも全てにおいてかっこ良い。そういった部分も非常に魅力的。

単なる青春映画としてもクオリティが高い作品だと思う。