「差異力 知らないことは武器になる」は自分の人生に違和感を持っている人は必読の本

はじめに

自己啓発に近いような本は、普段あまり好んで読まない。自己啓発本の、それっぽい雰囲気を感じると避ける。「〇〇すれば全てが上手くいく」といった、読んでる人へのモチベーションを上げさせるための演出や、本売りたいだけだろうというポジショントークが気になってきて純粋に楽しめないから。今回は、自分のことをよく知る人から、おススメされたので読んでみた。

著者について

著者は坂本嘉明さんという方。コカコーラやDELL、Lenovo、ソニー・ピクチャーズ、 今や白物家電トップシェアの中国企業ハイアール(三洋電機や米国GE買収で僕も知った)など、誰でも知ってるグローバル企業の要職を歴任。現在は、X-TANK コンサルティングという会社を起こしている。特にハイアールでは事業再生を手掛け、ビジネス界の異端児と言われる。通常、同じような業界でキャリアアップしていくが、DELL、Lenovoは競合関係かもしれないが、全く違う業界を渡り歩いているのがわかる。

世で成功しているスタートアップなどを見ていると、業界にイノベーションを起こしているなーと思うことが多いのだが、イノベーションの起こりやすい理由の一つは、業界の常識や慣行(プロの固定観念ともいう)とらわれず、自社や業界を広い視野から俯瞰して捉え、ここが課題だよね、こうなったらもっとよくなるのに、ということをシンプルに解決している。

この著者はタイで育った。日本に一時帰国したときもマイノリティであったという。常にマイノリティな境遇。この本では「よそ者」という言葉を使っているが、それが「差異力」というマイノリティの境遇の人が生き抜く術をネイティブに身につけたのかなと思った。

差異力について

差別化と何が違うの、と思うかもしれないが、差別化は、「差をつけて、分ける」違いを強調して、競合とは違う市場で戦うことを考える(4象限マトリクスとかで見せるのがそれ)。敵なしに見えて落とし穴もある。「みんなと違う、私は別物感」が出てしまうので実は社内/社外などで敵を作りやすい。差異力は、自分自身の違いは示しながらも、共通の土俵で戦うこと、ということである。

著者の事例として、「白物家電は価格で選ばれる」という生活者・メーカー・流通の間で揺るがない常識となっていたものに、「世界一小さな洗濯機」を半年間というスピードで製品化した。

シンプルに疑問を持とう

確かに著者は、差異力以外にも推進力も備わっているし、マイノリティから仲間を作り増やしていく巻き込み力や、何でもないことを面白おかしく話せるような話芸も持っているのかな、と、本を読みながら感じた。