映画「リアリズムの宿」

映画「リアリズムの宿」

原作は、つげ義春。山下敦弘(のぶひろ)監督の作品。山下監督は、過去、名作「リンダリンダリンダ」や「味園ユニバース」、僕も大好きな狩撫麻礼が原作の「ハードコア」などを監督している。

リンダリンダリンダで、青春と不器用さがミックスしたような、新境地を切り開いた感じがするが、
この人は不器用な人を描かせたらピカイチ。
この初期の「リアリズムの宿」こそ、山下監督らしさの要素が詰めこまれている作品だと感じる。

この映画の設定も、旅に来るはずの共通の友人が来ず、初対面の男二人が旅をするという、最初からシュールさを醸し出しており、期待感しかない設定だ。
その二人がストーリーの進行とともに期待を超えるパフォーマンスを発揮していく。

分析したわけではないが、山下監督は、観る人に「こう感じてくれ」とか、「こういう感想を持って欲しい」的な、誘導が少ないように感じる。例えば、ハッピーなシーンなのか、悲しいシーンなのかがわからない時もあるくらいだ。まさに、感想を観る一人ひとりに委ねるような表現が多い。長回しのワンカットでずーっと続き、でもストレスも退屈でもなく、面白くなってきたり、悲しくなったりする。不思議な感覚。

また、メインストリームではない、そこフォーカスする?ってとこのピックアップとその描き方の強弱がすごく心地良い。しょうもないツッコミとかが後を引いたり。現実社会でも、メインディッシュ的なことより、そういう些細なことが一番おもしろかったりする。

エンタメ的にガンガン誘導していく映画もあるし好きな一方で、こういう観た人が想像を膨らませて様々な解釈が生まれる映画は豊かだなと感じる。